2016年第2回東京都議会定例会 討論

2016年第2回東京都議会定例会 討論

 

2016年6月15日

小松 久子

 

都議会生活者ネットワークを代表して討論を行います。

  • 旧立川政府倉庫について

はじめに第149号議案についてです。

旧立川政府倉庫は、舛添知事が就任直後に視察し、突然、都が国から購入することにしたものです。多摩地域の備蓄倉庫にするということですが、この建物は築25年以上で、しかも立川断層沿いにあります。先の熊本地震は、活断層による激しい揺れが複数回起こり、新耐震基準の建物でも大きな被害を受けました。防災のための施設が震災が起こって使えなくなるのでは意味がなく、活断層沿いに巨大な防災備蓄倉庫をつくることは理解できません。したがって、旧立川政府倉庫を国から買い入れるこの議案に反対です。

  • 羽田空港の飛行経路の変更について

2020年に向けた羽田空港の機能強化策として国交省が打ち出した国際線増便の方針は、そもそも、これまで東京都が国に促してきた経緯があります。しかし、発着回数を増やすために必要として示された新ルートは、都心の上空をスカイツリーよりも低く飛行するものであり、騒音はもちろん、機体に付着した氷や部品の一部が落下する事故に対する懸念の声が各地からあがっています。ルート直下の自治体が防音や安全対策の徹底を求めていますが、住宅密集地の頭上でひとたび事故が起きれば、甚大な被害は避けられません。

都は都民の安全を守る責任から、危険を回避することを最優先し、この計画は見直すよう国に求めるべきと考えます。

  • 原発事故避難者支援について

福島原発事故から5年、政府と福島県は、来年3月をめどに帰宅困難区域を除く全ての避難指示を解除し、賠償や住宅の無償提供を打ち切ろうとしています。このことによって、多くの人々が経済的困窮に陥り、生活基盤を失うことが懸念されます。今、避難者は、強引に選択を迫られ来年以降の生活について不安を募らせています。福島原発の電気の恩恵に浴していた東京だからこそ、誠意をもって避難者と話し合い、本人の意思を尊重し、引き続き居住できるような都独自の支援が必要であり、一般質問で取り上げました。

一昨日、都は、新たな住宅支援として、200戸の都営住宅専用枠を設けると公表されました。一歩前進ではありますが、困難を抱えている避難者は、都内に400世帯以上いることから、丁寧な対応と引き続きの住宅支援を要望します。

  • 知事の海外出張費について

今議会では知事の海外出張費について問題となりましたが、石原知事時代にも度重なる高額な海外出張費が問題視され、規定の金額を超える場合には人事委員会と協議するようになりました。ところが、人事委員会は開催されるわけではなく、事務局が書類で理由を確認するだけのものです。今回の一般質問で、海外出張を企画する政策企画局も条例を所管する総務局も、金額について判断せず、都庁内にはチェック機能が全くないことが露呈しました。批判を受けて検討会を設置しましたが、庁内職員による見直しでは期待できません。外部人材を入れて検討し、透明性公開性を高めるとともに、金額が妥当であるかを厳しくチェックする体制が必要です。

  • 知事の政治姿勢について

舛添知事は本日辞職願を提出しましたが、真実を明らかにしてから辞めていただきたかったと思います。

知事の一連の公私混同、公金の私的流用問題などにより、今議会は完全に空転状態となりました。知事は記者会見や所信表明でも、代表質問、一般質問でも、さらには総務委員会の集中審議においても、謝罪と反省に終始し、肝心の疑問点については、珍妙な言い訳を並べただけで、具体的な説明を何ひとつしませんでした。

今回の一連の問題は、高額の海外出張や公用車の不適切な使用に始まり、政治資金の使い方について私的流用がつぎつぎと明るみに出ました。政治資金は、使用にあたって政治家の良識が問われる類のお金ですが、知事自らが道義的な判断をすることなく、弁護士に丸投げし「不適切ではあるが違法ではない」というお墨付きを引き出しただけです。非常識な使途と弁明が、説明を重ねるたびに都民の疑念をふくらませ、政治家不信、政治不信を著しく増幅させてしまった舛添知事の責任は極めて重いと言わなければなりません。

都議会は、都民に対し真相を明らかにするため、知事が辞任したとしても、議会の権能を使い、百条委員会を設置して調査することが必要です。

この間、寄せられた苦情が3万件を超えた都庁は機能不全に陥っています。都政を停滞、混乱させた罪は重大です。度重なる外遊について、「都市外交の成果を見てほしい」と知事は胸を張りましたが全ての都民が「世界一の都市」「史上最高のオリンピック」を求めているのではありません。もっと足元の子育てや介護などの問題にこそ目を向けるべきでした。

この4年間で3人も知事が辞任し、そのうち2人は「政治とカネ」の問題によるものであり、都政は最悪の事態となっています。失墜した都政への信頼を回復するのは、簡単ではありませんが、課題は山積しています。若者の雇用環境や保育園の待機児、子どもの貧困の問題など、なんとしても解決策を見出していかなければなりません。今度こそ真に都民のための都政を取り戻し、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会づくりに向けて、都議会生活者ネットワークは全力で取り組んでいくことを表明し、討論といたします。