2017年第2回定例会を終えて(談話)

2017年6月7日

都議会生活者ネットワーク

幹事長 西崎 光子

 

今期最後の本会議が本日閉会しました。

昨年夏の小池知事就任後に、豊洲市場に「盛り土」がなかったことが発覚して以来、都政は大揺れに揺れています。議会も、特別委員会や百条委員会を設置し、多くの質疑や調査が行われました。

この問題で、重要な課題の一つが文書管理でした。「行政情報は市民のもの」という視点が全く欠けており、百条委員会では、東京ガスとの交渉記録が都側にほとんど保存されていなかったことが白日の下にさらされ、あらためて公文書管理のずさんさが明らかになったものです。これを受けて、今議会に公文書管理条例が上程されました。

公文書の管理は情報公開の基盤となります。意思決定過程の透明性を図り説明責任を果たすとともに、都政への都民参加を進めるために、公文書管理条例は重要な条例です。

この条例案に関してはパブリックコメントが行われましたが、そのとき公表されたのは条例案の概要で、あまりにも大枠の内容だけでした。初めて制定する公文書管理条例については、本来であれば、もっと時間をかけて、専門家や市民による議論を重ねるべきでした。せめてパブコメを実施する際に、今後は詳細な情報提供をするよう要望しました。

都は、さまざまな計画策定時にもパブコメを実施していますが、都のパブコメは、募集期間や公表される内容にばらつきがあります。期間が短いためにアリバイづくりで実施していると指摘されており、そして何より、呼びかけに応えて意見を出しても、提出した意見を取り入れられたことがないと言われることが多いのです。

今回のような条例案への意見募集も含めて、パブリックコメントについてルール化することを求めました。

シドニーやロンドンの大会では、オリンピック・パラリンピックを契機に、ホームレス政策が進みました。2000年シドニー大会は、ホームレスの人たちが、ともに地域で暮らす市民であり、公共空間にいる権利を持つと宣言し、2012年のロンドン大会では、オリンピック開催までに路上ホームレス問題を終わらせるようにするための対策を実施し成果をあげています。

そこで、2020年東京大会が本気でホームレス問題に取り組み、住居や仕事の支援を提供するハウジングファーストのしくみを浸透させ、本人が地域の中で生活できる支援体制を構築することを要望しました。

今議会で、都外施設の仮設負担について議論になりました。そもそも仮設は組織委員会が負担することになっていましたが、昨年3月、舛添前知事とオリパラ担当大臣、組織委員会会長の三者の会談から、突如見直しが始まったものです。

都外にある既存の施設を活用し、観客席数や規模など足りないところを仮設で補うという考え方には、生活者ネットワークは賛成しています。そこで、経費節減の観点から、オーバースペックにならないように、都としてもチェックしていく必要があります。仮設の発注は組織委員会が行い、請求書が東京都に回ってくるという図式になると、どこでチェックがはたらくのか危惧があります。組織委員会が決めたものを唯々諾々と都が支払うのではなく、妥当性をきちんと見極めることを求めました。

市場問題プロジェクトチームが5日報告書をまとめました。豊洲市場では運営費の赤字が続き、築地再整備が優位であることを強調しています。豊洲の土壌汚染は解決しておらず、市場外流通の増加と今後の人口減少を見すえて、巨大な市場規模についても考え直す必要があります。

豊洲市場問題を通して露呈したのは、都庁官僚制の制度疲労・機能不全でした。豊洲市場の主な建物の下に盛り土が行われなかった経緯についても、百条委員会で証言した4人の市場長は、4人とも知らないと答えました。「豊洲市場地下空間に関する調査特別チーム」の報告書はもとより、本委員会においても石原元知事をはじめ、最終的な判断は誰が行ったのか、このことについては結局明らかにされませんでした。

しかし、豊洲移転問題がこれだけ大きな問題となり、とりわけ用地取得や土壌汚染対策、建物の建築などに6000億円に迫る費用負担を都民に強いたことに対し、その当時最高責任者であった石原元知事の責任は重大だと指摘しました。さらに百条委員会で、在任中都庁には週2~3日しか登庁せず、仕事は濵渦副知事に丸投げで、自分の関心事だけやっていたことについて質した生活者ネットワークの小松の質問に答えて、何の問題もないという石原元知事が、いかに無責任であったかがはっきりしました。

都内の自治体は、「待機児童ゼロ」に向けて対策を講じてきましたが、4月の時点では、ほとんどの自治体が解消できていません。全国でもトップクラスの世田谷区では、待機児童数が前年度より337人減ったものの、保育関連費用も膨らんでいます。

良質な保育が提供されることは、子どもの育つ権利の保障であるとともに、社会にとっては次世代の健やかな育成の核心部分です。

今後は、都立高校や地元の小中学校の敷地の活用や、保育士の人材確保などの支援を進め、保育の質も高めていくことを要望しました。

都議会生活者ネットワークは、東京改革議員団と共同で議会基本条例を提案しましたが、議会運営委員会で継続審査となりました。

都政の課題が山積している今、議会の役割、機能についても社会的関心が高まっています。議会改革は、市民のための改革です。議会への都民参画を進め、開かれた議会にすることによって、市民のニーズを反映し、市民の福祉の向上につながらなければなりません。

小池知事はスピード感を持って都政改革を進めており、それに遅れることなく都議会も改革を進めていくことが求められています。

2020年東京大会後には、人口減少や高齢都市問題が目の前に迫っています。地球温暖化対策も待ったなしです。都議会生活者ネットワークは、安心して地域で暮らせる持続可能な街、環境・福祉優先の東京をつくるために、都議選での勝利をめざして全力で頑張っていきます。