2019年第3回定例会を終えて(談話)

2019年第3回定例会を終えて(談話)

2019年9月18日

都議会生活者ネットワーク  山内 れい子

 本日第3回定例会が閉会しました。

●公文書管理条例改正について

 来年4月国分寺市に開館する公文書館にあわせて公文書管理条例が改正されました。この改正で、歴史的公文書の位置づけや公文書館での利用、公文書管理委員会の設置、出資等法人や指定管理者の努力義務などが加わり、条例のバージョンアップが図られました。運用にあたっては、第1条の「都政の透明化を推進し、現在及び将来の都民に対する説明責任を果たす」という目的に照らして、市民にわかりやすくアクセスしやすいしくみをつくることが重要です。公文書の範囲や保管のしかた、保存期間や廃棄・移管など課題があります。特に、東京2020大会に関するさまざまな情報は、都だけでなく組織委員会についても、意思決定過程がわかるように記録を残し、きちんと整理・保管すべきです。代表質問への答弁で、知事も組織委員会に対して「大会後を見すえて、情報公開や文書の適切な保管を促していく」と述べました。長野冬季オリンピックの資料焼却事件や今回の招致経過など、これまでのオリンピック・パラリンピックについては、闇の部分が多くつきまとい、文書が出されないために経過が明らかにされなかったことがいくつも報道されています。同じ轍を踏まないように、歴史的イベントだからこそ、事後に検証できるよう、当事者である都が、組織委員会の文書も含めて取得し保存・管理すべきであることを指摘しました。

●SOGI(性自認・性的指向)基本計画に当事者の声を

  東京都性自認及び性的指向に関する基本計画素案が、人権条例(東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例)に基づき示されました。全国初の「SOGI基本計画」案に対し、都議会には当事者・支援者団体等から期待とともに、SOGIを理由にしたハラスメント等に対する苦情処理機関の設置、当事者の声を反映する会議体の設置、条例の周知・啓発など多くの意見や要望が寄せられています。生活者ネットワークは、特に子どもたちや若者が孤立することなく自己肯定感を持てるよう、相談窓口の周知カードの工夫と学校等を通じた配布、ロールモデルとなる当事者に出会う機会など積極的な対応を求めました。9月30日まで行われるパブリックコメントを反映し、より良い計画にしていくべきです。

●選択的夫婦別姓の法制化を求める意見書はまとまらず  

  6月の第2回定例会で意見書提出を求める請願が採択されました。それを受けて、今議会文教委員会に意見書案が提出されましたが、自民党が反対し全会一致とならなかったため、都議会からの意見書提出は実現しませんでした。夫婦同姓を義務づけている国は日本だけであり、同姓と別姓のどちらでも選べる選択的夫婦別姓の導入に賛同する人が増えています。意見書提出が見送られたことは、都議会が前時代的でありジェンダー平等に向かう社会の動きに逆行しているというそしりを免れません。非常に残念です。国会での法制化に向けた議論が滞ることを懸念するものです。

●医療的ケア児への支援

 特別支援学校で人工呼吸器を使用する子どもが保護者の付き添いなく学校生活を送れるように、保護者の負担軽減を図っていくとのことです。医療的ケアが必要な子どもへの支援は重要であり、進めていくべきです。今後は、特別支援学校だけでなく、医療的ケア児が地域の学校に通えるように、人員配置への支援を求めていきます。

●柔軟剤・洗剤のにおいによる「香害」の対策強化を

 「いい香りがずっと続く」が売りの柔軟剤を使う人が増え、そこかしこに香りがあふれるなかで、香りを不快に感じる人や、身体が反応して頭痛やめまい、咳、吐き気、かゆみや湿疹などの症状を引き起こす人が増えており、日常生活に困難を抱えています。化学物質過敏症の人が「香害」によって学校や職場に通えなくなる事態も起こっています。これまで「香害」を防ぐ取り組みを求めてきましたが、なかなか進まないのが現状です。こうしたなかで、柔軟剤の使い方に関する注意喚起の情報をホームページ「東京くらしWEB」に載せたことは、一歩前進です。生活の中で使われている化学物質は香りだけではありません。規制などの動きの鈍い国に追随するだけでなく、人体への被害を防ぐためにさらに積極的な取り組みを求めるものです。

  都議会生活者ネットワークは、生活者の視点で、環境・福祉優先の持続可能なまちづくりをすすめていきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。