2013年都議会第4回定例会討論

2013年都議会第4回定例会討論

                  2013年12月13日

都議会生活者ネットワーク

西崎 光子

 

 都議会生活者ネットワークを代表し、今議会に提案されたすべての議案に賛成の立場から、討論を行います。

 まず、第193号議案から197号議案まで、交通局の料金改定の条例改正について、一言申し上げます。

景気回復が消費者まで届いているとは言えない中、消費税の引き上げは、都民生活に大きく影響を及ぼします。来年4月の消費税引き上げに向けて、いち早く都営交通の運賃改定が提案されました。公共交通は都民生活に不可欠なものであり、値上げに反対する声も聞いているところです。

この条例改正により、切符、ICカード、定期券と、購入方法の違いによって金額に差が生じます。切符を購入する人に不公平感が出てくるため、利用者に対して周知を徹底する必要があります。公共交通は重要な役割があることから、今後エレベーター設置などバリアフリー化を図るなど、サービス向上に努め、都民の理解を得るために、さらなる経営努力を求めるものです。

●新国立競技場をはじめとするオリンピック施設について

 いよいよ2020年東京五輪に向けた施設建設が動き出します。しかし、国家プロジェクトだからといって、景観を壊すような施設整備を進めてよいわけではありません。新国立競技場の建設について異議が噴出しているのは、その象徴です。少子高齢社会、人口減少、省エネなど課題が山積する中で、観客席8万人常設の巨大な施設が必要とは思えません。現にロンドンオリンピックのメインスタジアムの常設は2万5千人でした。しかも神宮外苑地区は都内の風致地区第1号であり、都立明治公園など都有地も含まれ、都に全く関係ない事業ではありません。

 都は、国の整備事業だからと手をこまねいているのではなく、専門家や市民の声を真摯に受け止め、8万人常設の巨大な施設建設を再考するよう国やJSCに要望すべきです。

 

●食の安全を取り巻く問題

レストランやデパートでメニューや食材の偽装表示が相次ぎ、食に対する信頼は大きく揺らいでいます。

消費者のブランド志向も偽装表示を招く一因にあると思いますが、やはり近年企業のモラルハザードは、経済状況や価格破壊に伴うとは言え、目に余るものがあります。外食の表示を取り締まる景品表示法では、実際以上に高級であると見せかける表示を禁止していますが、景品表示法違反かどうかの基準は不明確です。一方スーパーなどで販売される流通食品の表示については、今年6月、食品表示法が公布されたものの、実施までに定めなければならない基準はまだできておらず、ガイドラインの早期策定と残された検討課題の解決を求めるものです。

食品表示は消費者が商品を選択する際の重要な情報です。特にアレルギー表示は、命に関わることもあり、外食メニューにおけるアレルギー表示は先行して進めるべきです。

和食が世界無形文化遺産に登録され、これからますます日本の食への注目が高まろうとしている時、虚偽の表示による信頼の失墜はあってはなりません。多くのレストランや事業所がある東京都の食品安全行政は、体制を強化して、事業者の指導・監視に当たることを強く要望します。

 

●空き家のシェアハウス活用

劣悪な「脱法ハウス」が問題になり、国交省は建築基準法違反である旨通知を出しました。それによると、「脱法ハウス」は「寄宿舎」に該当するとし、壁や窓などの是正指導を求めています。しかし、この通知によって、安価で良質なシェアハウスまでも空き家活用の支障になることが強く危惧され、「9.6ショック」と呼ばれています。もちろん、劣悪な「脱法ハウス」や悪質な貧困ビジネスの規制は必要ですが、高齢者や低所得者の住まいを確保する観点からも空き家の活用が期待されており、今後「シェア」して暮らすことは、ますます重要になります。

空き家活用型のシェアハウス、グループリビングなどを進めるために、地域に即したルールづくりについて検討することを要望します。

 

●議会改革と費用弁償について

今議会に「都議会議員が本会議や委員会出席に際して支給される費用弁償は、報酬の二重取りだから、費用弁償を廃止する」よう求める陳情が出されました。議会運営委員会では不採択になりましたが、都議会生活者ネットワークは、かねてから費用弁償の廃止を提案しており、この陳情に賛成するものです。

議員が議会の本会議および委員会へ出席することは、議員本来の仕事です。議員報酬は、都議会議員という職に支給される報酬であり、本来の職務に対して支給される費用弁償については廃止すべきと考えます。

全国の自治体議会の動きを見ると、廃止や実費支給に変えているところが増えてきています。定額支給の議会は年々減ってきており、新聞報道によると、昨年10月時点で、一部または全額を実費支給している道府県議会は30に及びます。最近、横浜市議会が廃止した費用弁償を復活させたために、多くの市民から批判されました。

今期も都議会において「議会のあり方検討会」を設置し、議会改革のひとつとして、通年議会に加えて費用弁償のあり方について議論し、早急に結論を出すべきと考えます。

 

●知事の政治姿勢について

 最後に猪瀬知事が、徳洲会から生活費として現金5000万円を受け取った問題についてですが、この間総務委員会で集中審議が行われました。しかし、知事は、問題の核心部分に触れると「記憶にありません」と答え、新たな証拠も示さず、ほんとうに議会や都民に理解を得ようとしているとは思えません。

さらに、今議会に、都民の信頼回復に向け知事としての責任を果たすためとして、「給料の特例に関する条例」を提案しましたが、給料をもらわないからと言って、誰が猪瀬知事を信頼するのでしょうか。

まずは、「なぜ、徳洲会から5000万円ものお金を借りることが出来たのか」「生活資金がなぜ5000万円も必要なのか」きちんと説明がされなければならないはずです。ところが、各委員に問いただされるたびに、知事の説明は二転三転し、合理的とは言いがたく、公職選挙法違反の疑いは晴れていません。

生活者ネットワークは、選挙違反で多くの逮捕者をだし、東京都とも利害関係のある徳洲会から5000万円ものお金を簡単に借りたという猪瀬知事に、これ以上知事として務める資格はないと判断しました。

今、来年度予算編成を控え、この大事な時期に、都政の停滞をこれ以上続けるわけにはいきません。

猪瀬知事に潔く、自ら辞職することを求め、都議会生活者ネットワークの討論とします。

以上