2006年第3回定例会を終えて(談話)

都議会生活者ネットワーク
幹事長 大西由紀子

 本日、平成18年第3回定例会が閉会しました。
オリンピック招致を梃子に開発の動きが現実のものとなってきています。
今回の景観条例の全部改正は、建築物や工作物の色彩に対する変更命令や景観配慮を条件とする大規模開発の許認可などが盛り込まれましたが、この条例だけで都市の景観を阻害するものすべてを、規制することはできません。景観という概念が都民にも事業者にも定着するよう、都の取り組みを充実するとともに、区や市が景観行政に取り組むことを支援していく必要があります。また景観基本軸など広域的な景観の保全については、都の役割として責任を持って進め、東京で生活する一人ひとりが豊かさを実感できるまちづくりを目指すことを求めました。

この10月から障害者自立支援法が本格施行になり、関連する条例の改正もほぼ終了しました。しかし障がい者の負担増ばかりが先行し、就労への支援など自立の前提条件はまだ整っているとはいえません。小規模作業所などへの対応を当面継続する方針に、関係者は一息ついているところですが、国の対応が後手になっていることは大きな問題です。認定子ども園についても国の基準がなかなか示されず、区市町村は見切り発車を余儀なくされました。国に早急な対応を求めるとともに、都はスタートした認定こども園の状況を十分に把握し、保育環境の整備や保育機能の充実など、子育て支援の強化につなげるべきと指摘しました。

教育行政については、いじめ・暴力・不登校などが解決しないまま、学校不信・教員不信が募り、子どもと保護者への対応に追われる教員の悩みは深刻です。この6月、新宿区で新規採用の先生が自殺するという痛ましい事件があり、区では公務災害が認められるよう配慮することを明らかにし、その上で教員養成や任用について改善策を考え、都教委にも働きかけるとしています。団塊世代の大量退職時期を控え、教員の数と質の確保はますます重要になっており、都教委の速やかな対策を求めるものです。
日の丸・君が代の強要は違憲だとする東京地裁判決を不服として、都と都教委は9月29日、東京高裁に控訴したことは残念です。さらに今議会の討論の場で、「教育委員会の方針に従えない教師は教壇を去れ」との発言は品位に欠ける暴言であり、強く抗議します。
このようなイデオロギーや歴史観の違いによる対立で、教育現場の混乱が続くことの一番の被害者は子どもたちであることを肝に銘じ、教育行政と教師との間の信頼と協力の関係を築くことが最優先されるべきです。

以上